SNSで話題のダイエット効果のある海外の薬が欲しくて、個人輸入を代行してくれる業者を探しているんだけど…。
SNSでは処方してもらうより安いとか、日本で未認可だけど効果が高いという口コミが広まって利用する人が増えていますが、あまりおすすめはできないですね。
医薬品の個人輸入の代行業者ってもしかして違法なの？
輸入代行そのものは違法ではありません。
ただし安易に利用するのは危険なので、詳しく解説していきますね。
医薬品の個人輸入は可能
結論として、医薬品の個人輸入は可能ですし、違法ではありません。
しかし、様々な制約がありそれを踏まえ理解したうえで利用する必要があります。
ここでは踏まえなければいけないポイントを紹介します。
自分自身で使用する場合のみ認められる
医薬品の個人輸入は不正に国内に流入することを防ぐため、関税法や医薬品医療機器等法などの法律に基づき、海外で受けた薬物治療の継続が必要、あるいは海外からの旅行者が常備薬として携帯するなど、自分自身で使用する場合のみ許可されています。
個人輸入した製品を、他の人に売ったり、譲ったりすることは認められません。
国内で販売されている医薬品との違い
国内医薬品と海外医薬品の違いは簡単に言えば、国内で認可されているかどうかという点にあります。
日本の法律に基づき承認されていない医薬品はすべて海外医薬品とされ、 日本で使用できるように承認されるには厳重な審査が必要です。
また、アジア人はもともと体格が小柄で薬の効果が出やすいと言われているため、日本の医薬品は日本人に合わせ弱めの成分量となっています。
対して欧米人は体格が大きく薬の効果が出にくい傾向にあるため、日本の医薬品と比べると、成分量が多く、錠形の大きいものが一般的となっています。
薬監証明は必要？
個人輸入で認められた数量が一定量以下の少ない場合は、薬監証明不要で輸入できます。
ただし、それ以上の医薬品や医療機器を輸入しようとすると税関などで止められてしまいますし、薬監証明の発行もできない場合には、一般的には許された量だけを受け取って残りは返品か廃棄という事になります。
出典：https://www.iyakuhin.info/yakkan/
代表的な医薬品の個人輸入代行サービス
最近個人輸入代行サービスが増えていますが海外の通販サイトとなると、安全性や評判が気になるところですよね。
ここでは５つの代表的な個人輸入代行サービスをご紹介します。
お薬通販部
お薬通販部はお得なセット商品が豊富でED治療薬や美容系のサプリメントを手軽に通販でき、医薬品を購入した方のほとんどが効果を実感できたという評判の良い口コミが目立つ通販サイトです。
お届け日数のばらつきや梱包にへこみなどの少し気になる点があるという口コミもありましたが、ED治療薬の価格がサイトより安く種類も豊富にあるため、様々な種類のED治療薬を試したい男性にオススメな個人輸入代行サイトです。
ライフパートナー
ライフパートナーは取り扱い商品が100%正規品のため、偽物を購入してしまう心配もなく安心して利用できる通販サイトです。
そのため、2008年の運営開始以降・運営15年目に突入しており、通販サイトとしての信頼と実績を獲得しています。
サイト内の機能改善にも力を入れており、注文履歴から配送状況を確認できる親切なところも、海外医薬品を扱うサイトではあまり見かけないメリットです。
ベストドラッグ
ベストドラッグは日本の薬機法を遵守したうえで日本法人が電話・メール及びFAXでの対応をしており、事業歴も長いことから安心安心して利用できる通販サイトです。
価格は全体的に平均～少し高めではありますが、安心して利用できると思えば利用する人にとっては気にならないところではないでしょうか。
お薬なび
お薬なびは取扱商品の多さが自慢で、利用者からの評判が高い通販サイトです。
悪かった口コミは、ほとんどが「配送が遅い」ことがあがっており目立ったトラブルは見当たりませんでした。
良い口コミとしては、「遅延対象以外の荷物は早い」といった声や「お問い合わせは日本人が対応」「対応が丁寧」といった声が多く、評判の良い口コミばかりなので信頼度の高い個人輸入代行サイトと言えるでしょう。
オオサカ堂
オオサカ堂はSNSでも有名であり運営実績は20年以上ありますが、過去には健康被害問題やサイトの閉鎖などの大きな問題がありました。
以前はクレジットカード決済も行えましたが、現在では一時停止となっており、クレジットカード決済が行えない状態が数年続いています。
オオサカ堂は2012年に健康被害を起こす可能性のある食品を販売していたとして厚生労働省から取り締まりも受けているので、利用するには他の通販サイトに比べてリスクが高い個人輸入代行サイトと言えるでしょう。
海外から医薬品の個人輸入をするメリット
代表例の個人輸入サービスをご紹介しましたが、ここで改めて医薬品を個人輸入するメリットを考えてみましょう。
診断料・処方箋が不要
海外医薬品を海外から直接購入するため、医療機関に通う必要がありません。
そのため、医師に自分の個人的な情報を話す必要もありません。
同じ薬が日本で処方してもらうより安く買える
海外では、まだ日本では流通していないジェネリック医薬品もすでに流通している場合がありますので、薬の金銭的負担を低く抑えることが可能です。
日本で販売していないジェネリック医薬品が手に入る
日本ではまだまだ認知度も普及率も低いジェネリック医薬品ですが、アメリカでの普及率は90％以上といわれているほど一般的な医薬品です。
1つの新薬に対し複数のジェネリック医薬品が開発されますが、特に需要のある医薬品に対してはさらに多くのジェネリック医薬品が開発されます。
ジェネリック医薬品の場合は、先発薬と同じでないといけない部分もあれば、形状や匂い・添加物については同じでなく変更してもいいとされており、先発薬よりも錠形を小さくすることで飲みやすくしたり、シート状にして水なしで飲めるようにするなど、先発薬の欠点を補う形の医薬品も多くなっています。
そのため、より自分に合った医薬品を選択することが可能となっています。
誰にも知られずに医薬品を手に入れることができる
自宅まで配送されるので、病院で長く待つ必要も病院まで通う必要もありません。
AGAやED治療など保険が適用されない自由診療かつ医師に自分の病気について相談しにくい場合など、医薬品を自分で自由に選んで手に入れることができます。
海外から医薬品の個人輸入をするデメリット
もちろん、メリットがあればデメリットもあります。
ここではデメリットも紹介します。
健康被害などの甚大なリスクがある
まず、医師の診断を受けないで医薬品を入手できてしまうため、持病があって既に医薬品を服薬している場合は「飲み合わせ」問題があります。
さらに、海外から取り寄せた医薬品に添付されている説明書は、海外の人を対象としているので日本人を勘案していない可能性があり、医薬品の過剰摂取になる場合も考えられます。
正規品とは違うものが届くことがある
そもそも正規の医薬品が届くのか？粗悪品や健康を害するものが含まれた商品が届くのではないのか？という問題はやはり避けられない状態で、通常、薬の素人には正規品と粗悪品を見分けるのは大変難しい場合がほとんどです。
そこを踏まえたうえで個人輸入を行う必要があります。
また、薬の外箱や説明書はもちろん日本語では書かれていないので、適切な使用量を理解するのが難しい場合も。
海外への輸出を行っている業者の中には、粗悪品や健康に害のある薬を正規品と偽って販売している業者もいるので注意が必要です。
クーリングオフの対象外・保険適用外
個人輸入代行は日本の法律でのクーリングオフの対象ではないため、何らかの金銭や支払いに関してのトラブルがあれば、医薬品を使用している国の母国語で対応をする必要があります。
そういった点でも注意が必要です。
代行業者によるトラブル増で厚生労働省等でも注意喚起されている
個人輸入代行サービスが普及する傍らで、最近では「個人輸入代行」と称し「医薬品医療機器等法」に基づく承認や認証を受けていない医薬品等の購入を仲介する業者などとのトラブルがが増えています。
健康被害が生じても責任を負おうとせず、自己責任と称して全て購入者の責任とする悪質な業者がいるということは厚生労働省などでも注意喚起が増えているので、安易に個人の判断で海外から医薬品等を輸入することは控えたほうがよさそうです。
医薬品の個人輸入代行サービス利用の際の注意点
現在、個人輸入代行サービスをおこなうサイトは非常に多く存在しています。
ここで安全に海外医薬品を入手するのに重要なのは信頼のおける代行サイト選びです。
まず最初に「利用規約」や「特定商取引法表記」、ほかに所在地や運営責任者などがしっかり明記されているかを確認しましょう。
薬事法（薬機法）の禁止事項に触れていないか
医薬品および医薬部外品を個人輸入できる数量はは厚生労働省により定められており、
- 外用剤（軟膏、貼付剤、点眼薬、坐薬など）：標準サイズで1品目24個以内
- 医薬品（処方箋薬）：用法用量1か月分以内
- 上記以外の医薬品・医薬部外品：用法用量からみて2か月分以内
海外ではサプリメントとされている薬や、日本国内で医薬部外品として扱われている入浴剤や育毛剤、ドリンク剤なども個人輸入では医薬品とみなされるため、禁止事項の確認は必須でしょう。
輸入が禁止されている薬物でないか
たとえば覚せい剤は、そもそも「覚せい剤取締法」そのものに抵触するので誰でも解るように当然禁止です。
具体的には「メタンフェタミン・アンフェタミン」がそれに該当します。
エフェドリンは一定濃度を超えてしまうと覚せい剤の原料になるため、大量輸入は禁止されています。
また、しめ縄や神事、医療用に利用される大麻「大麻草・大麻樹脂」も輸入禁止の対象となります。
このように薬事法では、様々な医薬品の輸入が禁止されています。
信頼出来る輸入代行業者に確認した上で、個人輸入を行うことが最善策です。
お客様サポートデスクが日本語に対応しているか
日本語対応のサービスがしっかりされているかどうかの確認も必要です。
日本語が話せるスタッフの電話対応があるサイトは比較的信頼性が高いといえます。
違反する広告を使って宣伝していないか
輸入代行業者による無承認医薬品の広告については、安易な個人輸入を助長する行為として健康被害のおそれが危惧されるとともに、薬事法上違法な行為であることから厚生労働省から明確に定められています。
医薬品の広告該当性は
- 顧客の購入意欲を昂進させる意図が明確であること
- 特定医薬品等の商品名が明らかにされていること
- 一般人が認知できる状態にあること
に基づき判断しています。
輸入代行業者のホームページ等におけるいわゆる無承認医薬品の商品名等の表示については、名称の一部を伏せ字とした場合や文字をぼかす、写真や画像イメージのみを表示するなどの場合であっても金額を示すなど商品に対する顧客誘因性が認められる場合などであって
当該商品の認知度、付随している写真及び説明書き等から特定医薬品であることが認知できる場合は、広告に該当するものとして取り扱うこと。
としています。
出典：https://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/koukokukisei/dl/index_d.pdf
実際に違反していた例を解説
例えば
今アメリカで話題のサプリメント!!ダイエットに最適とハリウッド女優も絶賛!!売り切れ必死です。
引用元：https://www.yakujihou.com/rule/3-g05/
含有成分：エフェドラシニカ、××○、○○△、・・・・・・・・・・・・
使用方法・・・・・・・
申込み方法・・・・・・
60 錠入 12,800 円
と記載があった場合ですが、この場合は下記の通り違反となります。
アメリカでは栄養補助食品であっても、含有成分を日本の法律に基づいて判断すると、「医薬品」になる場合があります。「医薬品」に該当する場合、日本で医薬品として未承認の場合は、承認前の医薬品、医療機器の広告を禁じた薬事法第68 条に違反します。
引用元：https://www.yakujihou.com/rule/3-g05/
個人輸入代行業者の指導・取り締まり
前述の通り、厚生労働省は個人輸入代行業者の利用によるトラブルや健康被害の増加により注意喚起を行っています。
先般の個人輸入したダイエット用健康食品等によると疑われる健康被害事例において、これらの個人輸入代行業者が、実際には無承認医薬品の輸入や無承認医薬品の広告を行うなど薬事法（昭和３５年法律第１４５号）に違反する行為を行っている事例がみられることから、今般、医薬品の無許可輸入に該当する事例等を明確化し、指導取締りの参考としたので、今後は、下記に従い、貴管下関係業者に対して、遺漏のないよう指導・取締りを行われたい。
引用元：https://www.mhlw.go.jp/kinkyu/diet/tuuchi/0828-4.html
また、近年の健康被害事例の発生を踏まえ、厚生労働省としては安易な個人輸入に対して注意喚起を行ってきているところであるので、都道府県においても必要な周知・啓発を図られたい。
医薬品の個人輸入で実際にあった健康被害の実例
厚生労働省のwebサイトやあやしいヤクブツ連絡ネットでは、海外で健康被害が報告されている海外医薬品や偽造医薬品など、個人輸入を行う際に注意すべき医薬品についての情報が提供されています。
ここでは実際に起こった健康被害の実例を紹介します。
タイ製のホスピタルダイエットと称する薬で死亡事例
ダイエット目的の処方薬として個人輸入されていることが疑われる「ホスピタルダイエット」などと称される製品については、複数の都道府県から死亡例を含めた重篤な健康被害事例が公表されています。
これは購入希望者がインターネットのホームページ等を利用して身長、体重等を知らせ、海外の病院が処方したものを購入するダイエット薬として主に個人輸入により入手されていますが、これらの製品には向精神薬が含有されている場合があり、そのような製品についてはインターネット等により注文する個人輸入であっても、麻薬及び向精神薬取締法で禁じられています。
出典：https://www.mhlw.go.jp/kinkyu/diet/jirei/030902-1.html
中国製の瘦身用健康食品で肝機能障害
また、以下のようにタイ製だけではなく中国製の健康食品でも健康被害が報告されています。
事例１
平成14年２月から５月頃、60代の女性２名が、作用として減肥を標ぼうする中国から個人輸入した未承認医薬品(製品名：御芝堂減肥こう嚢（おんしどうげんぴこうのう) 注、発売元：広州御芝堂保健制品有限公司)を服用した。
引用元：https://www.mhlw.go.jp/houdou/2002/07/h0712-1.html
服用後１ヶ月程度で、全身倦怠感、嘔気、食欲低下の症状が現れ、臨床検査の結果、肝機能値の異常が認められた。
その後、１名は急性重症肝不全により約２ヶ月後に死亡し、もう１名も入院加療を要した。
事例２
平成14年３月頃、50代の女性が、痩身の目的で、中国から個人輸入した未承認医薬品(製品名：せん之素こう嚢（せんのもとこうのう）注、発売元：広東恵州市恵宝医薬保健品有限公司)を服用した。
引用元：https://www.mhlw.go.jp/houdou/2002/07/h0712-1.html
服用後１ヶ月程度で、黄疸が現れ、臨床検査の結果、肝機能値に異常が認められ、入院加療を要した。
事例３
中国から輸入されたハーブ類を原料とするカプセル形態の痩身用健康食品の摂取後に、肝機能障害が発生し、生体肝移植手術を行ったとの情報提供があった。
引用元：https://www.mhlw.go.jp/houdou/2002/07/h0712-1.html
まとめ
医薬品の個人輸入のそのものは可能ですが、重篤な健康被害も発生しており厚生労働省等でも注意喚起されているので安易な利用はおすすめしません。
しかし、特に難しい手続きはなく、手軽にそして何より安価に薬を入手することが可能です。
粗悪品などを扱う業者に出会わないためにも、インターネット上の口コミを活用して良い評判を集めたうえで自己責任で行うことが重要です。
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